日本では、世界でも例を見ない早さで高齢化が進んでいます。2013年には、65歳以上の人が3,000万人に達し、さらに、2015年には、全人口の25%を占め、実に国民の4人に1人が高齢者という時代が来ると予測されています。
このような超高齢化社会を迎えて、安心して老後を過ごすための「老いじたく」が必要になります。「老いじたく」とは、生前の財産管理から亡くなった後の遺産承継までの準備をするということす。
そのために準備として、生前の財産管理としては、成年後見制度について、亡くなった後の遺産承継については、遺言を中心とした相続について理解する必要があります。
それでは、まず、「遺言のすすめ」として、遺言を中心とした相続について考えてみましょう。
ある人が亡くなると相続が開始します。その相続とはいったいどんな意味があるのでしょうか? 相続には二つの意味があります。
一つは、亡くなった方、この方を被相続人といいますが、その被相続人の意思の尊重です。これを実現するのが遺言です。これは、被相続人の財産は、これを被相続人の意思で自由に処分できるということです。
もう一つは、被相続人の配偶者や子供などの遺族の生活保障です。これを実現するのが遺留分です。
例えば、被相続人が、その愛人に全財産をあげると遺言を書いてしまって、これがそのまま実現されると配偶者や子供の生活はどうなるのでしょう?ということです。
そこで法律では、これら配偶者や子供に残さなければならない最低限度の取り分として遺留分を認めています。
この点を押さえて、次にもし遺言がなければ、被相続人の財産、これを相続財産といいますが、この相続財産はどのように引き継がれて行くのでしょうか?
相続財産には預貯金、株、不動産などのプラスの財産と借金や連帯保証などのマイナスの財産があります。
これについては、次の表を見てください。
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相続人 |
配偶者 |
配偶者以外の遺族 |
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配偶者及び子 |
2分の1 |
2分の1 |
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配偶者及び直系尊属 |
3分の2 |
3分の1 |
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配偶者及び兄弟姉妹 |
4分の3 |
4分の1 |
これは、法定相続分の表です。
この表に書かれている割合で相続財産を引き継ぐことになります。
この表を見ると配偶者は常に相続人になります。
配偶者と同時に順次、子、直系尊属、兄弟姉妹と相続されます。
これは、子供がいればその子供、子供がいなければ直系尊属、直系尊属とは被相続人の父母や祖父母のことをいいます。その直系尊属がいなければ兄弟姉妹となります。
相続財産は、この法定相続分で相続人全員で共有、つまり、みんなで持つことになります。
このことは、例えば、被相続人名義の自宅を、一緒に住んでいた配偶者である奥さんの名義にしたいというときには、子供達と話し合いをして、その子供達の了承を得なければならないと言うことです。この話し合いを遺産分割協議といいます。
これがなかなか上手く話し合いがつかずに子供達の了承が得られない場合があります。そうすると、奥さんの名義にすることはできませんから、それを奥さんが例えば介護施設に入る費用にあてるために売りたいと思っても、子供達が了承しなければ売れないということになります。仮に子供達が了承しても、その分のお金をくれという話になります。
この法定相続分を理解した上で、次回、遺言の必要性について考えてみましょう。
次回は、「第2回 遺言は本当に必要なの?」です。