離婚による財産分与

夫婦は、互いに同居・協力・扶助の義務がありますが、性格の不一致、嫁姑との確執など親族との不和、夫や妻の暴力、浮気などで、その義務が果たせなくなると、離婚という状況を招くことになります。

離婚するためには、結婚の場合と同様にお互いの合意が必要です。話し合って合意できなければ家庭裁判所に離婚調停の申立をします。調停は、男女2人の調停委員と裁判官がお互いの言い分を聞いて話し合いで解決する方法です。その場合、離婚するかどうかを話し合うこともあれば、離婚自体は合意しているが、離婚後の子供の親権や養育費、夫や妻の慰謝料を含めた財産分与について話し合うこともあります。いづれにしてもお互いが納得しなければ解決はできません。離婚調停で解決できない場合は、家庭裁判所に審判の申立をするか裁判を起こすことになります。

そうなると解決まで相当時間が掛かりますので、例えば、妻が専業主婦で、夫が浮気して家を出て行ってしまって、生活費を入れてくれないという場合は、離婚調停と併せて婚姻費用分担の調停の申立をする必要があります。婚姻費用とは生活費のことです。つまり、婚姻費用分担の調停の申立とは、夫に生活費を払ってくれと言う申立のことです。

離婚で特に合意が困難なものに、離婚による財産分与があります。これはお金が絡んできますので、相手方の懐具合もありますが、離婚してしまえば他人ですので、たとえ自分に離婚原因があっても納得させるのは困難です。それに比べて同じお金が絡むものでも、子供の養育費であれば何とかして払おうと言う気持ちになるようです(ただし、養育費は一般的にはその子供が成人になるまでです。)

離婚に伴う財産分与としては、次の三つの異なる要素が含まれています。
① 夫婦が婚姻中に協力して蓄財した財産の清算
② 離婚後の経済的弱者に対する扶養料
③ 相手方の有責な行為(浮気などの離婚原因となった行為)により離婚を余儀なくされたことについての慰謝料

たとえ夫婦の一方の名義の財産(不動産など)であっても、それが、夫婦が婚姻中に協力して蓄財した財産であれば、財産分与の対象になります。またこうした財産は、浮気など離婚原因となった行為をした方にもあります。

また、年金や退職金についても財産分与の対象になる場合があります。

年金については、平成19年4月以後の離婚であれば、夫が厚生年金に加入している場合、その妻が厚生年金の一部の分割を請求できるようになります。

なお、財産分与を認めるべきかどうか、財産分与の額やその方法は、お互いの寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力や扶助の状況、お互いの年齢、心身の状況、職業や収入その他一切の事情を考慮して定めます。

関連事項 不動産登記 離婚による財産分与

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