遺言書の作成

生前に、大変な思いで築き上げた預貯金、株、不動産等の財産は、死んだ後、自分の納得の行く方法で処分したいものです。それを実現してくれるのが遺言書です。
遺言書を残していない場合には、これらの財産は法律で決められた人(この人を法定相続人と言います。)に、決められた持分割合(この割合を法定相続分と言います。)で処分されてしまうことになります。ただし、法律は、財産を残して亡くなった人の意思を尊重して、これらを決めていますので、このことについて、本人が全く納得が行かないと言う訳でもありません。
例えば、本人に妻と子供がいれば、遺言書を残していなくても、妻に半分、子供に半分の割合で財産が行くことになっています。
ただし、遺言書があっても、兄弟姉妹以外の亡くなった人の家族には、これから生活していくうえでの糧として、一定額の財産(これを遺留分と言います。)を残して貰う権利があります。これを遺留分減殺請求権といいます。例えば、亡くなった人の家族が妻と子供の場合は、全財産の半分は遺留分として、遺留分減殺請求権の対象になります。
つまり、亡くなった人に妻や子供がいるのに、遺言書で愛人に全財産を贈与(これを遺贈と言います。)しても、妻や子供は、愛人に対して、全財産の半分を自分の取り分として主張できることになります。 なお、遺言書は亡くなるまでは、いつでもその内容を変更(これを撤回と言います。)できます。
遺言書で愛人に全財産を贈与しても、その後で手のひらを返すように愛人に冷たくされたら、遺言書を撤回すれば言いのです。またその時に、妻や子供の大切さに気づくのかもしれません。
また、最近では、遺言書に財産の処分方法だけでなく、生前にお世話になった感謝の気持ちや意思、贈る言葉などを書くことも多いようです。