マンションの建替

昭和40年代からマンションの普及が急速に進み始め、それ以降、多少の増減はあるものの、マンションの供給は、現在に至るまで高い水準で推移してきました。 全国のマンションストック総数は、平成20年末現在で、約545万戸(居住人口約1,400万人)に上り、老朽化の目安とされている築年数が30年を超えるマンションは、今後、都市部を中心に急増し、2011年には100万戸を超えると予想されています。こうした建築から相当年数を経過したマンションにおいては、躯体部分や設備の物理的・機能的・経済的な老朽化が急速に進み、また、居住空間である専有面積が足りない、エレベーターの設置がない、耐震性が不足している、防犯面での不安があるなどの多くの問題を抱えています。

こうした老朽化したマンションについては、都市再生や居住環境の向上の観点から、建替えや改修等が必要となりますが、マンションは、1 つの建物を多くの人たちで区分所有しており、そうした区分所有者の価値観やライフスタイルの違いを調整しながら、それら区分所有者に合意してもらうことの難しさ、権利関係・利用関係の複雑さなど、建替えや改修等を行う上で多くの課題があります。

このため、平成14年12月に「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」(以下、円滑化法)、平成15年6月に「建物の区分所有等に関する法律」(以下、区分所有法)及び円滑化法の改正法が施行されるとともに、国土交通省において、平成15年1月に「合意形成の進め方に関するマニュアル」及び「建替えか修繕かを判断するためのマニュアル」の策定等、マンション建替えに関する施策を講じ、また、平成17年11月に、「マンション建替え実務マニュアル」(以下、マニュアル)を作成し公表しています。

区分所有法と円滑化法に基づき、マンションを建替える場合の事業の流れを知りたい方
区分所有法に基づく建替え決議を実現する方法には、円滑化法による建替えと、区分所有者が土地を出資し、デベロッパーが建替え事業資金(取壊し費用、建築費用、その他建替え事業に要する費用)を出資して、新たに建築した施行再建マンションの区分所有権(それに伴う敷地利用権)を、それぞれの出資額に応じて配分する、等価交換方式による建替えがあります。

円滑化法によるマンションの建替え事業は、次のとおり行われます。

①マンション建替えの合意形成

②区分所有法による建替え決議(区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数で決議)
・マンション建替組合の設立認可申請のための定款(マンション建替組合の運営ルール)及び事業計画(建替えの計画)の作成
・マンション建替組合の設立のための都道府県知事の認可申請(建替え合意者の4分の3以上の同意で申請)

なお、マンション建替組合のほか、建替えについて区分所有者等の全員の同意があれば、区分所有者又はその同意を得たデベロッパーなども、マンション建替事業を施行できます。

 ③マンション建替組合の設立
・建替え合意者以外の区分所有者に対する売渡し請求

 ④権利変換計画の作成(組合員の議決権及び持分割合の各5分の4以上で決議)
・権利変換計画の非賛成組合員に対する売渡し請求、非賛成組合員からの買取り請求
・権利変換計画の都道府県知事の認可申請

 ⑤権利変換期日における権利の変換
・施行マンション(マンション建替え事業を施行する現に存するマンション)及びその敷地等の占有者に対する明渡請求

なお、マンション建替組合は、高齢などにより建替えへの参加が困難な者の居住の安定のため、代替住宅の確保に努めることとされ、国や地方公共団体も必要な措置を講じることとされています。

 ⑥建替え工事の実施
・施行マンションの除去及び施行再建マンション(マンション建替え事業の施行により新たに建築されるマンション)の建設

⑦施行再建マンションへの入居
・施行再建マンションに関する登記(一括申請の特例措置)
なお、火災や地震などの防災への安全性が十分でないマンションや、居住環境の面で著しく不適当なマンションについて、市町村長がマンションを建て替えるように勧告することができます。

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