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登記の誤り
登記を間違えてしまった場合に、それを訂正することができます。例えば、親子で5,000万円の不動産を買って、売買代金として、親が4,000万円を支払って、子は1,000万円しか支払っていないにもかかわらず、その持分を2分の1ずつで登記をしてしまったところ、その後で、税務署から、不動産価格の2分の1に相当する2,500万円から、子が支払った1,000万円との差額1,500万円については、親から子への贈与になり贈与税がかかるとの指摘を受けてしまった場合、それぞれの持分を、支払った代金に応じて親5分の4、子5分の1に登記を訂正することができ、これにより贈与税を回避できる場合があります。
贈与税を回避する方法については税務署の指導に従うことになりますが、登記上誤った登記を訂正するには主に次の3通りの方法があります。
1 所有権抹消登記を行った後、改めて正しい内容で登記する方法
既に登記された権利が誤りであったのであれば、間違った登記を抹消して、正しい内容で改めて登記をするのが本来の方法でしょう。但し、既に誤った登記の際に納めた登録免許税等が戻って来ることはありませんし、改めて登記をする際に、また同じ登録免許税等の登記費用がかかってしまいます。
また、金融機関等から借入をして不動産を担保に提供(抵当権等を設定)しているのであれば、既に設定済の抵当権等を抹消しなければなりませんが、その協力が得られる場合はほとんどないと思われますので、この方法によれる場合は非常に限定的かも知れません。
2 所有権更正登記により登記を訂正する方法
既に登記された権利の内容の一部が、その当初から誤りであって実態と一致しない場合、その不一致を是正する目的で行う登記を「更正登記」といいます。
なお、更正登記が出来るのは、更正の前後を通じて登記の内容等の同一性がある程度ある場合に限ります。従って、例えば所有者としてAと登記したのを、別人のBに登記することは同一性がないので出来ません。更正登記が認められるのは次のような場合です。
(1)持分のみを更正する場合
冒頭の例のように所有者(共有者)は変わらずに持分だけを更正する場合は当事者であるA・Bだけで登記手続きが可能です。この場合、その不動産全部を担保に取っている金融機関等がいても登記手続き上はその承諾は不要です。
(2)共有関係を単独所有に、単独所有を共有関係に更正する場合
例えば、A・B共有として登記を完了したところ、実際にお金をだしたのはAだけであったような場合、登記手続きをするのにA・Bだけではなく、不動産を担保に取っている金融機関等利害関係人がいるとその承諾が必要になります。なぜなら、更正登記は始めから登記が誤っていたということですから、A・Bに付けていた抵当権等の担保もBに付けていた部分は誤りだったということになってしまい、抵当権等の担保が当初Aに付けていた部分だけに縮減されてしまうからです。
また、こうした登記の更正の場合、前所有者(売主等)の協力も登記手続き上必要になりますので、手続が煩雑になり、前所有者と連絡が取れないような場合は更正登記手続き自体が非常に難しくなります。
3 所有権移転登記「真正な登記名義の回復」により登記を訂正する方法
所有権更正登記が出来ない場合や金融機関・前所有者等の協力が得られない場合、「真正な登記名義の回復」という登記原因により、所有権の登記を訂正する方法があります。例えば、真実はAからCに所有権が移転したのに登記簿上はAからBに移転したことになっている場合、真実に合致させるために便宜上BからCに所有権移転登記手続をすることが出来ます。更正登記の場合と違って真実に合致している限り、登記の前後を通じての同一性までは要求されていないのです。
この方法による場合、登記手続き上、現在の登記名義人B(誤った登記名義人)と真実の所有者Cだけで登記手続きが進められます(前所有者Aの協力は不要)。また、金融機関等の担保(抵当権等)が付いていてもその状態のまま(抵当権等が付いたまま)所有権を移転しますので、登記手続き上は金融機関等の承諾は不要です。
このように更正登記によることが出来ない場合でも「真正な登記名義の回復」という登記原因により所有権移転登記をすることで登記を訂正することが出来る場合もあります。但し、仮に真実に合致せず誤った登記であったとしても、その誤って登記がされた際の登記が、「判決」、「競売」等、公正な機関である裁判所が関与していた場合や、抵当権や地上権等所有権以外の登記であったような場合には認められません。
4 登記に必要な書類を知りたい方・登記費用のお見積りを知りたい方
以上のように利害関係人の有無、利害関係人の承諾の有無、登記の経緯等、実際の事案に応じてどのような登記手続きが取れるか異なります。必要な書類・登記費用も事案による事になりますので、詳しくはご相談下さい。
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