直接移転売買(第三者のためにする契約)

平成17年3月に不動産登記法が改正されて、それまで不動産取引の実務で行われていた、いわゆる「中間省略登記」ができなくなりました(中間省略登記とは所有権が順次移転した場合に、中間者への登記を省略して、最後の所有者に直接登記することをいいます)。

しかし、中間者への登記を省略することによって登録免許税や不動産取得税を削減し、その節税効果を流通コストに反映出来れば、取引当事者がその経済的利益を享受することができることから、取引実務上の要請が根強くありました。

そこで、「中間省略登記」と同様の経済効果(中間者に登録免許税や不動産取得税がかからない等)をもたらす「直接移転売買」(第三者のためにする契約)という方法が認められるようになりました。

「直接移転売買」(第三者のためにする契約)とは、次の図のとおり、AB間、BC間について、契約内容を次のとおりとする売買契約をそれぞれがすることで、所有権をAからCに直接移転させるこができることをいいます。

(1)の売買契約(第三者のためにする契約)の契約内容は、次のとおりです。

  1. A(所有者)が、B(買主)の指名するC(第三者)に所有権を直接移転する。
  2. B(買主)が、A(所有者)に、購入物件の売買代金を支払うが、その後も、B(買主)による所有権の移転先の指名がない限り、所有権はA(所有者)に留保される。
  3. 指名されたC(第三者)の、A(所有者)に対する、所有権の移転を受ける旨の意思表示(受益の意思表示)を、B(買主)がA(所有者)からA(所有者)に代わって受領する旨の委託を受ける。
  4. A(所有者)はB(買主)のC(第三者)に対する所有権移転債務の履行を代わりに引き受ける(履行の引受け)。

(2)売買類似の無名契約(又は他人の物の売買契約)の契約内容は、次のとおりです。

    1. C(第三者)が、B(買主)に、購入物件の所有権を取得する者として指名されることの対価として売買代金を支払う。
    2. B(買主)がC(第三者)に対して負う所有権移転債務をA(所有者)が代わりに履行する(第三者弁済)

 

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